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予言

空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。日の下で、どんなに労苦しても、それが人に何の益になろう。一つの時代は去り、次の時代が来る。しかし地はいつまでも変わらない。日は上り、日は沈み、またもとの上る所に帰っていく。 昔あったものは、これからもあり、昔起こったことは、これからも起こる。日の下には新しいものは一つもない。「これを見よ。これは新しい」と言われるものがあっても、それは、はるか先の時代に、すでにあったものだ。先にあったことは、記憶に残っていない。これから後に起こることも、それからのちの時代の人々には記憶されないであろう。 伝道者の書1:1-5、9-11 新改訳 神が人をお創りになってから、何度人は同じ過ちを繰り返してきたのだろうか。 今、日本は二度と起こってはならないとされてきた歴史を繰り返そうとしている。 「予言」(下のリンクにある動画)は1980年の10フィート運動によるドキュメンタリー映画だ。社会科教職の授業の際、反戦教育の教材として紹介された。1980年は戦後35年の年だ。アメリカでは情報公開法で、公文書は原則30年を経つと公開されるらしい。戦時下の、占領下の秘密にされてきたアメリカの公文書が公開されはじめた。情報公開は、単に文書にとどまらず映画フィルムなど写真・映像にも適用されたそうだ。そこには原爆投下直後の「アグニュー映像」も存在した。そこでアメリカの公文書館にある8万フィートにのぼる広島と長崎の記録フィルムを市民の手で買い取るという運動が立ち上った。 「市民一人ひとりが、10フィート分に3000円のカンパをしてフィルムを買い戻す」という思いによる「10フィート運動」は全国に呼びかけられ、貴重な被爆直後の広島・長崎の 映像が市民の手によって日本に戻ってきた。そのフィルムにより作成された映画を「10フィート映画」という。 公開から更に、35年の時がたった。 「予言」に映されたフィルムには、劇映画ではおよそ及ばないリアリティがある。広島の原爆ドーム、長崎の原爆資料館に勝るとも劣らない生々しさだ。1時間近くに上る直視できない映像だ。しかし、戦争を知らない世代は、全て観るべきだ。原爆投下は誰が悪いとか、そういう話ではない。「予言」に記録された映像は、以下のことを伝える。すなわち これが、戦争の先にあるものだ。